本研究では、消費者概念の内容について、これと対置されることの多い事業者概念との関係を通じて検討することで、新たな側面や問題点を見出すことができると考え、消費者と事業者との間の取引関係等について、主にEU私法の展開等を踏まえながら考察した。その結果として、これら2つの概念はすべての場面において対立するものではなく、その内容が重なる場合があるのみならず、時として同じ方向性をもつことがありうることが判明した。消費者と事業者との間の関係において、協働的なものともいえるこのような側面を支援するためにはどのような規律体系が求められるのか、今後の研究でより深く分析することとしたい。
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