日本のドメスティック・バイオレンス(DV)施策は、被害者が加害者の元から離れることを前提とした安全確保及び自立支援にかかる対策が中心となっている。DV事案において、通常の暴力事件の加害者と同じように刑罰法令を適用したとしても、加害者に対して具体的な働きかけをしないままでは、暴力や支配的な行動パターンは継続するであろうし、場合によっては悪化するかもしれない。つまり、司法的対処だけでは限界がある。 本研究では、同様の課題に対応してきた諸外国におけるDV施策から、DV被害者支援につながる加害者への働きかけのあり方を分析することで、日本におけるDV防止法の法制度上及び運用面での課題を検討した。
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