研究課題/領域番号 |
15K16979
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白川 俊介 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), その他 (50737690)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リベラル・ナショナリズム / グローバル正義 / グローバルな民主主義 / 人権 |
研究実績の概要 |
本年は、研究実施計画(a)リベラル・ナショナリズム論とグローバルな民主主義との両立可能性についての研究にかかわる研究成果として、「ジョージ・オーウェル『動物農場』の政治哲学的含意についての一試論──ネオリベラル・ディストピアに抗して──」という論文を執筆した。これは、本論文は、オーウェルの『動物農場』を題材にして、グローバルな民主主義が、動物農場と同じようなある種のエリートの独占になってしまう可能性を指摘し、それをいかに回避するかを、動物農場における経験から導き出そうとするものであった。「新自由主義的グローバリゼーションとデモクラシーの行方──ジョージ・オーウェル『動物農場』についての考察を手がかりに──」という研究報告に基づいたものである。
また、研究実施計画(b)リベラル・ナショナリズム論から理論整合的に導かれるグローバル正義の理論の解明にかかわる研究成果として、グローバルな正義論についての批判的な検討として、「マルチナショナルな世界におけるネイション間の正義の問題──規範理論的一考察」および、「グローバルな正義の動機づけに関する一考察──デイヴィッド・ミラーの議論の批判的検討を手がかりに」研究報告を行った。これらの研究報告の方向性としては、国境を越える正義を考察する上では、他国や他の集団に対して財の配分を行おうとする動機に関する考察が不可欠なうえで、かかる動機をどこから調達することができるのかということについて、主として「ケアの倫理」を手掛かりに論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施計画(a)リベラル・ナショナリズム論とグローバルな民主主義との両立可能性についての研究については、論文を一つ執筆したものの、私が目指していた結論まで到達することができなかったので、計画の進行は遅れているといわざるを得ない。しかし、本来ならば平成28年度に本格的に取り組む予定であった研究実施計画(b)リベラル・ナショナリズム論から理論整合的に導かれるグローバル正義の理論の解明にかかわる研究で一定の進展が見られた。したがって、総じて、当初の研究計画より、多少遅れていると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、研究実施計画(a)において得るはずであった結論を得て、何らかの形で成果報告できるように努めたい。さらに、当初の予定通り、研究実施計画(b)について、一定の結論を得て、何らかの形で成果報告ができるように努めたい。
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