研究課題/領域番号 |
15K16979
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
白川 俊介 関西学院大学, 総合政策学部, 講師 (50737690)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | グローバル正義 / 人の移動 / 頭脳流出 / ナショナリティ |
研究実績の概要 |
本年度は、後述する理由で研究の進捗が望めなかったが、前年度までにある程度進めていた研究をいくつか形にすることはできた。まず、いわゆるリベラル・ナショナリズム論に基づくグローバル正義論の批判的な検討として、"A Philosophicak Inquiry into an Emotional Motication for Global Justice: Based on a Critical Reflection on David Miller's Arguments"を『KWANSEI GAKUIN SOCIAL SCIENCE REVIEW』に発表した。さらに、グローバルな正義について人の移動という観点から議論を深めるものとして、次の2つを発表した。まず、「頭脳流出」という現象に着目してグローバル正義論を論じたものとして、「「頭脳流出」はいかなる道徳的課題を喚起するか──「移住のグローバル正義論」序説」を『総合政策研究』に発表した。そして、「移動の自由」と「グローバル正義」は実のところ両立しがたいのではないかという点については、「グローバルな正義と故国に「留まる権利」:「移動の自由」についての批判的一考察を手がかりに」という研究報告を関西倫理学会にて行った。さらに、そこから派生して、移動の自由という観点ではなくむしろ「留まる権利」を擁護する観点からグローバル正義を構想すべきではなかという点を論じるものとして、"In Defense of the Right to Remain:A Case against Open Borders"という研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
私的な理由ではあるが、今年度は子どもが生まれたので、育児と家事にかかわることが多く、予定していた学会への参加や学会誌への投稿を断念せざるをえなかったからである。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、今年度に行う予定にしていたが残念ながら不可能であった学会報告や論文の投稿を積極的に行い、最終年度として、研究全体をまとめる作業に着手したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況のところでも記したように、私的なことではあるが、子どもが生まれたため、育児や家事の負担が増え、予定していた学会への出張や投稿を予定した論文を取りやめざるをえず、それに向けた文献や論文の購読などもできなかったため、研究計画を延長し、次年度に繰り越すことにした。次年度は、今年度できなかった学会報告(海外研究報告1件および国内研究報告2件)を行うための出張旅費、および論文の執筆(国内査読誌3編への投稿、紀要への投稿2件)を予定通り遂行するための、文献などの購入費(図書費、物品費)の支出を予定している。
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