当該年度は、主に治安維持や国内安全保障政策における非国家主体のかかわりについて調査・研究を進めた。フィリピンでの現地調査を2回実施し、主にマニラ首都圏における資料収集と聞き取り調査を行った。また、2016年7月に発足したドゥテルテ政権の治安部門ガバナンスへの姿勢、新政権下での治安部門の市民社会組織への態度、市民社会組織の対応などに焦点を当て研究を遂行した。加えて、これまでにフィリピンのマニラ首都圏やラナオ・デル・ノルテ州のイリガン市などで収集した、市民社会組織による治安部門ガヴァナンスへの参加に関わる資料やデータの整理と分析を実施した。 こうした活動の成果の一部を以下の学会報告および研究会報告で公表した。論題「Government-NSAGs Cooperation for Internal Security in Mindanao」(4th Philippine Studies Conference in Japan、広島大学、2018年11月17日)、論題「越境暴力とローカルな暴力:フィリピンにおける国際テロと紛争」(越境暴力研究会、キャンパスプラザ京都、2019年3月12日)。 以上のような研究活動を踏まえて、市民社会組織の参加といった観点から治安部門ガバナンス研究における理論的示唆の検討を進めると同時に、平和構築の推進や人間の安全保障の擁護にとってより良い治安部門ガバナンスのあり方の検討を進めた。現在は、これらの検討の結果を論文として執筆する準備に取り掛かっている。
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