研究課題/領域番号 |
15K16984
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
松井 孝太 杏林大学, 総合政策学部, 講師 (70733773)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アメリカ政治 / 州政治 / 労働組合 / 政党 / 利益団体 / 公共部門 |
研究実績の概要 |
今年度は、各州における党派的変動(州議会・州知事)が公共部門労働者の組織化に及ぼした影響について、関連研究の文献調査を引き続き実施するとともに、昨年度までに実施した研究に対して研究会等で得られたフィードバックを基に、議論の修正や追加的な分析の作業を進めた。それらの成果の一部は、論文として学術誌で公表した。また、本研究課題との関連で、平成29年度に生じた時事的事象や、近日中に最高裁判所において示される可能性がある法解釈の変化に焦点を当てた研究を行った。 今年度の補助金は、主として上記研究対象に関連する文献等の購入費に充てられた。 今年度実施した研究では、以下の成果が得られた。第一に、州レベルでの公共部門労働者の団体交渉権の付与・剥奪は、主として党派的要因によって規定されており、さらに団体交渉権の有無が労働者の組織化に対して有意な影響を及ぼしていることが計量的分析により確かめられた。第二に、2016年選挙においても、公共部門労働組合が民主党支持基盤として重要な役割を果たしていたことが明らかになった。第三に、司法部においても、裁判官の党派的構成の変化に伴い公共部門労働者の法的権利に関して従来維持されてきた法的解釈に変更の兆しが見られ、トランプ政権下でさらに加速する可能性があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究計画の作成時に予期されなかった所属・身分の変更及び研究代表者の子の養育環境の変化に伴い、本研究課題の進捗には全般的にやや遅れが生じている。分析枠組についての論文執筆と量的データを用いた計量分析に関しては、昨年度に引き続きおおむね順調に進展し、論文として公表することができたが、現地のアーカイブ等における資料調査によって得られた一次資料による定性的研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、これまでの調査によって得られた州政府・労働組合等に関する一次資料を用いてさらに重点的に質的分析を進め、学術誌での公表に向けて成果をまとめる。当初計画から遅れが生じている部分について平成30年度中の復帰を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、まず、現地調査を行う必要がないことが明らかになった資料について可能な限り国内での調査を進めたことや、既に収集していた一次資料の分析に遅れが生じたためである。これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、研究図書の購入や学会への参加のための旅費の使用等を計画している。
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