研究課題/領域番号 |
15K16994
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
村上 剛 立命館大学, 法学部, 准教授 (80737437)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 実験調査 / 調査実施 / データ分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、選挙において候補者の民族背景が有権者の投票行動にどのような影響を及ぼすのか、とりわけそうした効果は候補者の所属政党や選挙制度によってどのように・どの程度変化するのかを、日本でウェブ上のサーベイ実験を用いて解明しようとするものである。 平成27年度末時点では当初の予定より大幅に遅れていたが、平成28年度の進捗により概ね元の予定に戻すことができた。具体的には、2017年2月に第1回本調査(サーベイ実験)を実施し、そこで得たデータを分析可能な状態に加工し終えた。 分析途上ではあるが、上記から得られた分析結果の概要を報告する。第1回の本調査を分析したところ、1. 候補者の民族背景は日本の主要4政党(自民・民進・維新・共産)から出馬していても得票を押し下げる効果を持つが、2. その効果量は自民党において最も大きく推定された。しかし、2017年2月時点で自民党は最も支持を集める人気の政党であることから、この効果は他の政党に比して相対的に大きいだけである可能性が高いことが推察された。 選挙制度との関連では、3. 小選挙区制度と比べて比例代表制度下では上記の効果が緩和される傾向が見られ、こちらは研究開始時に想定した仮説を支持している。しかしこれは、比例代表制度によって候補者の民族性が「埋没」したことによる効果なのかまだ明らかでない。いずれにせよ今回の実験により、1~3のような、これまでの投票行動研究では全く検証されてこなかったような影響の詳細―候補者の民族背景が得票に与える影響の程度は、所属する政党や選挙制度によって組織的な制約(あるいは促進)を受けること―が次第に明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度末に本調査を行ったことにより、研究計画書にある当初の予定に近い段階にまで計画を進めることができた。ただし、以下の点においては最初の研究計画から重要な変更している。当初の計画では本調査の前に一度パイロット調査を行い(第2段階)、その結果から有用な質問を選定・修正して本調査を行うことを予定していた(第3段階)が、近年の調査費用単価の上昇により、調査回数を2回に分けると予定した参加者数が確保できなくなる(端的に言うと、予算が足りない)問題が明らかになった。そこで研究計画を練り直し、委託先の調査会社とも相談・交渉して、調査を統合することにした。具体的には、500人に対して多くの質問を尋ねるパイロット調査と、4000人に対してやや少ない質問を尋ねる予定だった本調査を合体させ、4500人以上の参加者を確保しながら、非常に多く(160問)の質問を尋ねる大規模な本調査を1回行った。当初の予定より質問数を増やし、実験プログラムも多少複雑化させたため、プログラム作成とデータの加工には多くの時間を要したが、これらもすべて平成28年度末までに終了することができた。 本調査では、研究計画書に記述・計画した内容をほぼそのとおり実行することができたし、意図していた分析に必要な変数や参加者も十分確保し、現れるであろうと想定していた効果や、そのいくつかの特徴についても概ね確認することができた。本研究は今のところ目に見える形での成果を示すまでには至っていないが、内容においては妥協・ダウングレードをせず、慎重に進めることで着実な進展を遂げていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在は、平成29年度5月末に行われるカナダ政治学会に向けてデータを分析中である。研究実績の概要で記したように、候補者の民族背景によってもたらされる投票への効果量は政党によって異なるが、これが何によって、どのように決まるのかを明らかにする課題に取り組んでいるところである。この分析結果を同学会で発表した後は、そこで得られるフィードバックをもとに論文を修正し、査読付き学会発表に投稿したい。その後は研究計画書どおり、前回の実験で検証しきれなかった仮説や、補足が必要な部分をフォローアップする第2回目の実験を計画し、平成29年度の冬を目途に行いたい。 なお、平成29年度はアメリカ政治学会での研究発表も計画していたが、前述の調査単価の上昇により、2回目の実験で計画どおりの参加者・質問数を確保できる実験を行うには予算が足りなくなるため、同学会での発表は見合わせる。当然ながらその分の予算は全て第2回実験調査に使用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算の殆どを調査会社に委託するウェブサーベイ実験の費用に充てており、その料金は、参加人数や質問数などによって決まるため、1回の実験で予算額を使い切るように委託会社に価格を設定させることは非現実的であるから。
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次年度使用額の使用計画 |
第2回目の実験調査に使用する。
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