研究課題/領域番号 |
15K16996
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
大村 華子 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (90612383)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 経済投票 / 社会志向の経済評価 / 党派性バイアス / 個人志向の経済評価 / サーヴェイ実験 / 操作変数法 |
研究実績の概要 |
2017年度は、(1)経済投票の理論的進化のためにサーヴェイ実験を導入した操作変数法による推定、(2)経済投票に関する先行研究の整理、(3)経済評価に関する質問文のワーディングの検討の3つの課題に取り組んだ。これらの研究により、日本においてこれまで検証が十分にされてこなかった、経済投票における党派性バイアス(partisan bias)の問題を明らかにすることができ、個人志向性のバイアス(egrotropic bias)が働く可能性を示唆するに至った。また経済評価の指標化に関しては、その導入となる分析結果を提示することが可能となった。
また従来、サーヴェイ実験は外的な刺激をもたらしその因果効果用いることに利用される傾向にあったが、サーヴェイ実験の新たな利用方法の試みとして、情報刺激によって操作変数を導出するという手法を試み、分析結果を依頼論文として公刊した。併せて今後の研究へもつながるものとして、アメリカでのインターネットを用いサーヴェイも実施した。この中では、主に(3)経済評価に関する質問文のワーディングの検討を行い、補足的に所得格差に関するサーヴェイ実験も盛り込んだ。この分析結果については、現在英語論文としてまとめている段階である。
これらの研究結果について、1回の学会報告を行い、3本の論文を公刊し、3本の論文が公刊予定となった。英語論文は2本であり、両方が査読論文である。日本語論文に関しては、1本が依頼論文、3本が査読無し論文である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度は2つのサーヴェイ実験を実施し、追加的にアメリカでのインターネット上でのサーヴェイ実験も実施することができた。またそれらの分析結果のうちのいくつかをすでに公刊することができており、新たな英語論文も執筆中である。よって、本研究自体は予定以上に進捗していると考えている。
ただ当初の計画と異なり、英語論文の公刊は達成されているものの、海外学会での報告は育児の関係で実施することができていない。今後もこの点について、大きな環境の変化を期待することができないため、執筆した論文を海外学会で報告するよりも、海外の査読誌に投稿することに集中した作業を進める予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、本科研の最終年度として、英語論文の執筆をさらに進め、海外の査読誌に投稿する作業に集中する。予定では2から3本程度の英語論文を執筆し、投稿する予定である。また日本語の論文に関しては、1本が依頼論文として受理される見込みとなっており、もう1本が査読中の段階である。さらに、査読無し論文が2本公刊予定となっている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度はオンライン上でのサーヴェイ実験に対して主に支出したが、その際に若干の余剰が生じた。それにより、次年度に繰り越しが発生した。次年度は当該の繰り越し分を、英文校正費の一部に充当する予定である。
|