研究課題/領域番号 |
15K16997
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
平野 淳一 甲南大学, 法学部, 准教授 (10550949)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地方政治 / 地方行政 |
研究実績の概要 |
本年度は、市長の行財政改革の規定要因について、定量的に明らかにすることを試みた。当初計画では、2年目に行う予定であった、「市長の行財政改革についての公約の達成度合いの分析」に関係するものである。事例分析にあたり、行財政改革の規定要因を定量的に把握することが必要と考えられたため、予定を変更して取り組んだものである。分析にあたっては、財政支出や行財政改革の政治的要因をめぐる内外の先行研究の収集・検討を行い、首長の党派性の他に、首長与党の構成、議会における市長の与党議員の比率といった点が行財政改革のパフォーマンスに影響を与えているとの知見が得られていることが分かった。本研究では、基礎自治体である市を分析した先行研究が少ないことと、日本の自治体を対象とした先行研究が、市議会における与党議員の比率を正確に特定できていない点に注目し、政令指定市を対象とした計量分析を行った。分析の結果、与党議員の比率が高いほど政令市における市長の行財政改革は進展しやすいが、逆に与党議員の比率が一定の水準を超えると、行財政改革が進まなくなるという知見が得られた。本研究成果は、平成28年1月7日のアメリカ南部政治学会において報告した。今後は、分析対象を政令市以外に広げるとともに、予算配分における首長と議会の関係を扱った先行研究の収集・検討を進めて、仮説の更なる精緻化を行う。その上で、学会誌の査読付論文として公表したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、「1995年以降に在任した全ての市長の行財政改革に対する姿勢を明らかにする」ことが当初の目標であった。しかし、新聞記事等の資料で行財政改革をめぐる争点や対立構図が必ずしも明らかでなかったり、記者の主観が入りやすい新聞記事によって市長の行財政改革についての選好を明らかにすることに疑問を感じたため、市長の行財政改革の実績を定量的に把握することを優先した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、市長の行財政改革の実績を定量的に把握すると共に、その過程に注目し、議会や有権者からどのような反応を受けたのかを明らかにしていきたい。また、実施が遅れている市長の行財政改革に対する姿勢の特定については、市長選挙における選挙公報に注目し、テキストデータ分析を行うなどして進めていくことを考えている。
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