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2015 年度 実施状況報告書

家計の子ども数選択と経済の出生率決定に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K17022
研究機関神戸大学

研究代表者

安井 大真  神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30584560)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード出生率 / 所得格差 / 企業の異質性
研究実績の概要

本研究の目的は、(1)家計はどのように子ども数を選択するのか、(2)その結果として経済全体の出生率はどのように決まるのか、という二つの問題を分析するにあたって、そのような分析に用いられてきた従来の理論モデルの欠点を克服するようなモデルを構築することにある。従来のモデルの一番の問題点は、子ども数の選択にあたっては、個人の異質性だけでなく、職業の異質性が重要であることが実証研究によって指摘されてきた(教育年数などの個人の異質性をコントロールしたとしても、選択する子ども数には差が生じ、その差の多くの部分は職業の違いによって説明できる)にも関わらず、従来の理論モデルは、家計間の子ども数の違いを導出するために、専ら個人の異質性に注目してきたことである。そこで、平成27年度は、職業の異質性を源泉として家計間で子ども数の違いが生じるようなモデルを構築した。そのようなモデルは、上記のような実証研究サイドの要請に答えるだけでなく、所得と子ども数の負の関係について、選好や経済環境の変化に関して頑健な結果(これもまた実証研究において強く支持されている)を導くことができることがわかった。
現時点で完成したのは、来年度以降の分析において基礎となる基本モデルに過ぎないが、従来の理論研究と実証研究のギャップを埋めたという点で、基本モデルの完成自体が大きな成果であると考えられる。その成果は国際学術雑誌のInternational Economic Reviewに掲載されることが決定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成27年度中に基本モデルを完成させることが当初の計画であったが、基本モデルが完成しただけでなく、そのモデルを論文にまとめたものが国際学術雑誌に掲載されることが既に決定している。

今後の研究の推進方策

平成27年度に完成した基本モデルをもとに、さらなる分析を進めていく。まず取り組むのは、基本モデルの動学化である。基本モデルは静学モデルであり、クロス・セクションの分析には適しているが、現在のままでは経済成長に伴う出生率の変化といった動学的な分析を行うことができない。動学モデルへと拡張を行って、経済成長に伴う出生率の変化を説明できるようなモデルを構築する。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度は解析的な分析に終始し、数値計算や実証分析を行うに至らなかったので、数値計算や実証分析に必要な設備は次年度以降に購入することに変更した。

次年度使用額の使用計画

数値計算や実証分析を実行する段階で使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] A theory of the cross-sectional fertility differential: Job heterogeneity approach2017

    • 著者名/発表者名
      Daishin Yasui
    • 雑誌名

      International Economic Review

      巻: 58 ページ: 287-306

    • DOI

      10.1111/iere.12218

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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