研究課題/領域番号 |
15K17023
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
澤 亮治 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70644566)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 進化ゲーム理論による社会選択問題の分析 / 損失回避的選好と長期均衡 / 長期的な均衡の導出 / 国際会議発表 / 国内会議発表 / 国際共同研究 |
研究実績の概要 |
進化ゲーム理論に関して、理論発展の方向(研究I)と応用の方向(研究II)の2つの研究を行っている。研究Iでは、人間の限定合理性に焦点を当てて、理論を発展させる研究を行っている。研究IIでは、従来行われていなかった協力ゲームへの進化ゲーム理論の応用を行っている。 研究I ―― 注意不足(inattention)などにより合理的な決定が行えなくなると言われるマルチタスク環境を対象とした研究を継続した。研究協力者を研究代表者の研究機関に招待する機会を設け、研究に関する集中的な議論および関連する研究の成果について情報交換を行った。また、新しく損失回避的な選好を持つプレイヤーを仮定し、損失回避傾向が長期的な均衡に与える影響の度合いを分析する研究を開始した。一定の成果が得られたため、日本経済学会2016秋季大会で発表を行った。 研究II ―― 2015年度より継続して、協力ゲームの代表的なモデルのひとつである社会選択論への進化ゲーム理論の適用を行っている。論文誌に投稿可能となる水準まで研究結果の質を高めることを目標とし、以下の結果を明らかとした。社会選択問題に対して確率安定性分析を行い、長期的に社会に定着する政策の分析と社会選択論の解概念との関連を明らかとした。社会選択論での重要な解の概念にコンドルセ勝者とボルダ勝者がある。どのような状況でこれらの解が安定的となるかを進化ゲーム理論の観点から示す結果が得られた。また、政策空間としてユークリッド空間を仮定した場合には、重要な解の概念の一つであるmin-max政策が確率安定となることを示した。現在までの成果の公開と幅広く他の研究者からの意見を得られるように、2015年度から継続して、京都大学のサイトにてDiscussion Paperとして公開を行っている。 http://www.kier.kyoto-u.ac.jp/DP/DP936.pdf
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
注意不足(inattention)などにより合理的な決定が行えなくなると言われるマルチタスク環境を対象とした研究I、および協力ゲームのモデルであるマッチング問題・社会選択論への進化ゲーム理論の適用を行う研究II共に、扱う現象をゲーム理論におけるモデルとして表現する方法は確立している。また、そのモデルを基に一定の結果を得られており、国際会議などで成果の発表を行っている。現在のところ、研究は順調に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
注意不足(inattention)などにより合理的な決定が行えなくなると言われるマルチタスク環境を対象とした研究Iに関しては、海外の研究協力者の来日の予定に合わせて、代表者の所属研究機関に短期間滞在を依頼する予定である。滞在中の共同研究などを通して、研究成果をDiscussion Paperなどの形で取りまとめ、外部に向けて発信できるようにする。 協力ゲームのモデルであるマッチング問題・社会選択論への進化ゲーム理論の適用を行う研究IIに関しては、引き続き国際会議などでの成果発表を積極的に行っていく。会議で得られた意見および、公開されたDiscussion Paperへの意見を基にして、更なる改善を目指した改訂を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年8月に参加した国際会議は日本での開催であったため、経費を節約することが可能となった。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年秋以降に新たな研究成果が得られた。この成果の発表のための国際会議および国内会議参加を次年度に積極的に行う。また、2016年度より本研究に関して新たな国際研究協力者との研究可能性が生まれたため、研究環境の整備に使用する。
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