第一に、インフレ予想の横断面のばらつきは、情報の硬直性によって説明可能であること、長期のインフレ予想は中央銀行と民間経済主体の間で不一致が生じていること、2013年以降においても、長期のインフレ予想は2%に収れんしていない点を明らかにした。第二に、中央銀行の予測の優位性について検証を行った結果、中央銀行と民間経済主体では予測の精度に差が生じていたが、近年は予測の精度に差がなくなったことを発見した。第三に、中央銀行がコミットメント型の政策を採用した場合は、経済主体が合理的に期待を形成した場合でも、合理的とは言えない場合でも、経済にショックが生じた場合の経済動学が大きくは変わらないことを示した。
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