研究実績の概要 |
2016年度は、前年度から作成を進めていた論文“Endogenous Structural Change, Aggregate Balanced Growth, and Optimality”を査読付きの国際的学術誌 Economic Theory に投稿した。同誌からの改訂要求を受けて作業を行った結果、この論文は同誌に受理された。この論文では、技術進歩が内生化されたモデルを用いて産業構造の変化を分析した。ここで産業構造の変化とは、一国の経済成長に伴い、製造業からサービス業への生産や雇用が移動していくことを指す。また、さまざまなデータから、一国の経済は、消費と所得などがバランスして成長していくという均整成長が指摘されている。これまでの技術進歩が内生化されたモデルでは、産業構造の変化と均整成長を両立させることが困難であった。この論文では、「新たな財の開発」と「既存の財の改良」という2つの技術進歩を入れることで、産業構造の変化と均整成長が両立できることを示した。また、製造業からサービス業への生産や雇用移動のスピードが適切であるかを分析した。その結果、製造業からサービス業への生産や雇用移動のスピードは速すぎることを示した。さらに最適な生産や雇用移動のスピードを達成する政策の分析を行った。技術開発補助金(または税金)や企業の新規参入に対する補助金を用いることで、最適な製造業からサービス業への生産や雇用移動のスピードを達成できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題に関して研究機関にすでに以下2本の論文を査読付の国際的学術誌に掲載済みまたは受理済みである。1.“Conformism and Structural Change,”International Economic Review, 56, 939-961. (2015) (Masako Ikefuji and Kazuo Minoとの共著) 2.“Endogenous Structural Change, Aggregate Balanced Growth, and Optimality,”Accepted at Economic Theory 2016. (Noriko Mizutani and Taisuke Uchinoとの共著) ともに国際的に認知された学術誌である。したがって順調に研究が進んでいる。
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