研究課題/領域番号 |
15K17028
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
川森 智彦 名城大学, 経済学部, 准教授 (70550531)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 内生的交渉決裂点 / 繰り返し交渉 / 交渉理論 / ゲーム理論 |
研究実績の概要 |
交渉決裂点が内生的に決まる繰り返し交渉モデルを構築した.モデルの概要は次のようである. 2人のプレイヤーが毎期毎期余剰の配分について交渉する.各期において,まず,一方のプレイヤー(提案者)が余剰の配分を提案し,続いて,他方のプレイヤー(応答者)が提案への諾否を表明する.提案が受諾されれば,提案通りの配分が実現して次の期に移り(提案者は変わらない),拒否されれば,ある確率で交渉決裂点の配分が実現して次の期に移り(提案者が変わる),残りの確率で2人の関係は解消される.交渉決裂点の配分は,前の期に実現した配分である.したがって,交渉決裂点は,内生的に決まる.各プレイヤーの利得は,各期で実現する配分での自身の取り分の割引現在価値の和である. また,応答者にとって諾否の利得が無差別になるような配分が提案され,その提案が受諾される定常的な均衡を導出し,均衡経路上で実現する配分の列を求めた. 構築したモデルおよび導出した均衡について,学外の交渉理論の専門家と学内のゲーム理論の専門家に説明し,コメントを得た.均衡の導出や関連文献について,有益なコメントを得た. 既存の繰り返し交渉モデル(余剰の配分が実現したあと,次の期に移り新たな余剰についての交渉がなされるモデル)では,交渉が決裂すると何も分配されず,したがって,交渉決裂点は外生である.一方で,本研究では,交渉決裂点が内生的であり,ここに本研究の新規性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
集中して研究を進める時間をとることができた.
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今後の研究の推進方策 |
定常的な均衡をすべて求める.応用例を考える.論文にまとめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
モデルの構築と均衡の導出に集中したため,関連図書やコンピューターの選定に時間を割くことができなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
関連図書やコンピューターを選択し,購入する.
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