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2017 年度 実績報告書

新たな市民社会論構築に向けた基礎的研究:J. ロックの宗教思想と社会的徳の実践

研究課題

研究課題/領域番号 15K17034
研究機関福岡大学

研究代表者

武井 敬亮  福岡大学, 経済学部, 准教授 (90751090)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードヘンリ・ハモンド / ジョン・ロック / キリスト教 / 国教会 / 合理性 / 『寛容書簡』 / 宗教的寛容 / 社会秩序
研究実績の概要

本年度は、まず、前年度に行ったヘンリ・ハモンド(空位期のアングリカン)の『キリスト教の合理性Of the Reasonableness of Christian Religion』(1650) の分析をさらに進め、“Reasonableness”の意味内容を明らかにした。ハモンドは、同著作の中で、まず、「証Testimony」の明確さ(直接性)は、理性的な人であれば納得できる(=理にかなった)ものであり、このことがキリスト教の信仰の根拠となると主張した。次に、キリスト教を信仰することによって「利益advantages」が得られるのであれば、当然、信仰することが理にかなっていると主張した。そして、この二つの点から、キリスト教は「理にかなってreasonable」おり、キリスト教(=国教会)を信奉すべきであると結論づける。さらに、後者の議論を行う中で、ハモンドは、キリスト教の実践を重視し、また、その実践の在り方についても、個人の置かれている状況に応じて義務を果たすことを求める。こうした議論は、先行研究でも指摘されているように、ハモンドの(契約神学にもとづく)条件付きの救済論を下地にしていると考えられる。
次に、政治と宗教の関係性を把握するために、『寛容書簡』を中心に、ロックの寛容思想の再検討を行った。先行研究でもたびたび指摘されるが、ロックは、『寛容書簡』の中で、国家と教会の管轄権の区別を説明し、国家が宗教的寛容を認めることによって、政治的服従と宗教的自由が両立可能であること(=宗教的寛容と社会秩序の安定化)を論証する。そして、この議論が、名誉革命期において、国家の〈統合の論理〉として機能しうるとロックが考えていたことを、オランダの神学者フィリップ・ファン・リンボルクとの書簡の分析から具体的に示した。
以上の研究成果について、現在、論文投稿に向けた作業を行っている。

備考

武井敬亮、「ヘンリ・ハモンド『キリスト教信仰の合理性』における“Reasonableness”の意味」、第11回ジョン・ロック研究会、学習院大学、2017年9月
武井敬亮、「ロック研究の展開可能性―宗教思想を中心に―」、17世紀イギリス思想史研究の現在と未来 ―山田園子先生退職記念シンポジウム、京都大学楽友会館、2018年3月

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公開日: 2018-12-17  

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