本研究では、ロック及び同時代の思想家(アングリカン聖職者)の著作を分析・比較することによって、ロックの思想に内在する〈社会的徳としての宗教性〉を析出した。特に、ロックの宗教的著作や手稿(例えば、MS Locke c.34、『キリスト教の合理性』、『寛容書簡』など)の分析から、ロックの教会論の特徴(反聖職者主義や世俗と宗教の管轄領域の区分など)を示し、さらに、ロックが、社会秩序を乱さないかたちでのキリスト教信仰にもとづく外的行為の在り方(内面と外面の一致)を主張していたことを示した。また、それが、ロックの寛容思想の特徴でもあることを具体的に明らかにした。
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