研究課題/領域番号 |
15K17039
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
星野 匡郎 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 講師 (80726430)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 社会的相互作用 / 空間的自己相関 |
研究実績の概要 |
・社会的相互作用が存在する下で、二つの選択行動を同時に意思決定するモデルを提案し、その推定方法の確立および実証研究を行った。具体的には、アメリカの中高生に対する社会調査データAddHealthを用い、青少年における喫煙、飲酒行動の同時決定モデルを推定した。その結果、それらの二つの行動の間に有意な補完性が観察され、また、喫煙行動については社会的相互作用の効果も認められた。一方で、飲酒行動については、既存の研究とは対照的に、社会的相互作用の効果は有意ではなかった。この結果は、既存の結果が社会的相互作用を過大評価していたことを示唆する。以上の研究成果をワーキングペーパーとしてまとめ、2017年夏開催の Econometric Society アジア大会において研究報告を行った。
・昨年度から継続している、サンプルセレクションを考慮した社会的相互作用モデルに関する論文について、最終稿を執筆、国際学術誌 Journal of Business and Economic Statistics に投稿し採択が決定した。
・昨年度から継続している、被説明変数が打ち切られたセミパラメトリック空間計量経済モデルに関する論文について、2017年冬にChinese University of Hong Kong にて開催の Econometrics Workshop に参加し、研究成果を報告した。また、同論文は、国際学術誌 Econometric Theory の二次査読を通過し、2017年三月に修正稿を投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
社会的相互作用や空間的自己相関に関する計量経済分析という観点では、順調に研究が進展しており、着実に高評価の国際学術誌に採択されている。以上から、全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。
また、本研究課題の主問題である「相互作用を考慮したトリートメント評価」については、分析可能な理想的なフレームワークの着想を得たため、今年度および(今年度が最終年度のため、必要に応じて研究期間の延長を申請したうえで)来年度の主な研究テーマとしたい。
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今後の研究の推進方策 |
相互作用を考慮したトリートメント評価について研究を進める。具体的には、Marginal Treatment Effect のフレームワークを活用することで、「他者のトリートメントが自身のアウトカムに影響」し、かつ「トリートメントの選択自体にも相互依存関係がある」状態が分析可能であると見込んでいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
・2017年度の末において,本研究課題に関する大きな進展が見込める着想を得たため,2018年度の予算を当初より多く確保しておく必要があると判断したため.(主に共同研究や研究セミナーにおける旅費の追加費用として.)
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