本研究では、国境を越えた企業間での協力的環境投資が、環境の質や社会厚生に対してどのような影響を与えるかを理論的に分析した。分析では、2国2企業からなる第3国市場モデル(数量競争)を用いた。第3国も含めた世界厚生の観点から、分析結果の政策的含意は以下の3点である。(1)企業間で環境技術に関する情報を全て共有していたとしても、協力的環境投資を禁止した方が良い可能性がある。(2) 協力的環境投資を認めるか否かに関して、第3国を含めた全ての国で協調して意思決定をすることで世界厚生の改善が可能となる。(3)企業の協力的環境投資を促進したいのであれば、政府は環境税率にコミットすべきである。
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