前年度に引き続き研究会に参加しながら,文献・資料収集に基づいて,理論的・数値的分析を行った.特に,1.動学的視点に基づく合併形成や付随する企業行動,および,2.政策的観点に基づく分析行った.また,研究最終年度であることから,研究成果を外部に発信する点にも注力した. 1.と関連して,(1)公企業と私企業が存在する混合寡占市場を考え,動学的設定の下,製品差別化された財を生産する私企業間の最適な合併形成について分析した.1つの合併が起きると,当該産業で,連鎖して合併が引き起こされる点を明らかにした.本論文を,日本応用経済学会にて報告し,国際学術雑誌に投稿した.(2)動学的な設定の下,製品差別化と投資時点に焦点を当てて分析した論文を,応用地域学会と2つのセミナーにて報告し,国際学術雑誌に投稿した.(3)製品差別化に関して,別角度から分析してまとめた論文が,国際学術雑誌Journal of Intelligent Information Systemsに掲載された. 2.と関連して,(1)にて,最適な民営化政策を明らかにした.特に,パラメータの領域に依存して,完全または部分民営化が望ましくなる一方,完全公営化は望ましくない点を明らかにした.また,いったん合併が起きた産業では,途中で合併を差し止めるのではなく,認可したほうが,社会厚生上,望ましい可能性がある点を明らかにした.さらに,(4)同研究の社会厚生関数の形状に関する研究知見を拡張する形で,自動運転の際の政府の望ましいポリシーを明らかにした.同論文を,国際学会International Conference on Knowledge-Based and Intelligent Information Engineering Systemsにて報告し,成果は議事録Procedia Computer Scienceに掲載された.
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