研究課題/領域番号 |
15K17051
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
海野 晋悟 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 講師 (20724610)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 非正規労働 / 家計消費 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、公益財団法人 家計経済研究所が実施する「消費生活に関するパネル調査」を使用して、2004年から2009年の調査期間で、夫婦の夫が正規で働いていて妻が非正規で働く場合と正規で働く場合の家計の消費の定量的な違いを明らかにした。本来であれば、夫婦共に非正規の家計の消費を比較したかったのであるが、当該のパネル調査でのサンプル数を確保することができなかったために、評価を行えていない。 家計に関するパネルデータを用いた当該年度の研究成果の意義は、夫・非正規&妻・非正規の家計の消費が柔軟性に乏しいことを示唆するということである。それは、夫・正規&妻・正規の家計より夫・正規&妻・非正規の家計の消費が、限界消費性向が高いことや、長期負債の消費への抑制力が高いこと を推定結果として得ていることから、夫・正規&妻・非正規の家計より、家計収入が低いことが予想される夫・非正規&妻・非正規の家計の消費は、限界消費性向がより高く、長期負債の消費への抑制力がより高くなることが推察されるということである。 上記のような結果は、本研究で構築する動学的一般均衡(DSGE)モデル内の経済主体に現れるべき特徴を意味している。このことは、DSGEモデル内で、非正規労働者の特徴を付与されている家計の消費関数に、今期の所得への高依存と長期負債の消費抑制効果などの特徴を合成されたパラメータの値で指定することで、構造パラメータのカリブレイションを可能にする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初入手した「消費生活に関するパネル調査(公益財団法人家計経済研究所)」データの加工作業に時間を費やしすぎてしまったが、データセット整備後は推定作業を順調に行った。ワーキングペーパー等の形で論文を公表出来なかったのは残念であるが、次年度すぐにできると考えていることから、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿った形で研究課題を遂行する。①平成27年度に行った実証分析を下に国際査読付雑誌に投稿するための学術論文を作成する。更に、国内外の学会やセミナーで論文報告を行う。②平成27年度に得られた実証結果を基にDSGEモデルを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度経費を計上していた海外への研究調査を実行しなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度実行できなった海外調査を、次年度に繰り越して実行する。
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