研究課題/領域番号 |
15K17061
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
溝渕 英之 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (10516793)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Malmquist指数 / Hicks-Moorsteen指数 / 最良指数 |
研究実績の概要 |
本研究の目標は、持続可能性を考慮した厚生指標を提案し、これにもとづき各国の持続可能な構成水準を計算し、国際比較を行うことである。幸いなことに平成27年度に一応当初の目標を達成できたものの、提案した厚生指標にはいくつか問題が残ることとなった。そもそも厚生指標は、数量指数や生産性指数を厚生関連データに応用したものであり、基になっている数量指数や生産性指数に固有の問題が、厚生指標に引き継がれてしまっている。そこで、若干遠回りに考えらえるが、平成28年度はあえて数量指数や生産性指数の研究に集中することにした。これらの指数を改善することが、結果的により良い厚生指標の考案へとつながると考えられるからである。 平成28年度の研究実績は以下のようにまとめられる。第一に、代表的な理論的生産性指数であるMalmquist指数とHicks-Moorsteen指数が、技術進歩がHicks中立的である場合、または生産技術がhomotheticな場合には、一致するということを明らかにしたことである。第二に、代表的な実証的生産性指数であるTornqvist指数がHicks-Moorsteen指数の最良指数(Superlative index)であることを明らかにしたことである。第三に、新たな理論的数量・生産性指数群を考案し、それらすべてが最良指数(Superlative index)となることを明らかにしたことである。これまでごく限られた理論的指数のみが最良指数であると考えらてきたが、本研究により従来考えられている以上に多くの理論的指数が最良指数であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数量指数・生産性指数の理論的研究で複数の成果を挙げることができた。しかし、学会発表や学術誌への投稿などは行ったが、論文採択まで進めることができなかった点が課題として残った。
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今後の研究の推進方策 |
数量指数・生産性指数の理論的研究を継続すると同時に、それらの研究で得られた成果を新しい厚生指標の研究に応用する。そしてそれにもとづき持続可能な構成水準についての、より正確な国際比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、2本の論文用に英文校正を確保していたが、1本は未完成であり、もう1本は共著者に校正を依頼したため、英文校正費が余ったから。
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次年度使用額の使用計画 |
新たに書く論文の英文校正費、または国際学会への出張費にあてたい。
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