研究課題/領域番号 |
15K17063
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
田中 鮎夢 中央大学, 商学部, 准教授 (20583967)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | グローバル化 / 格差 / 総合商社 |
研究実績の概要 |
Ahn et al.(2011) やAkerman (2010) 、Bernard et al. (2010) をはじめとする海外の近年の研究は、海外の消費者に財を供給するうえで、卸・小売(商社)の役割が重要であることを強調している。それらの研究に基づけば、生産性の低い中小企業は、自社内に卸・小売部門を持たず、卸・小売(商社)を通した間接輸出を行う。一方で、生産性の高い大企業は、自社内に卸・小売部門を持ち、自社名義の直接輸出を行える。 しかし、これまでの先行研究は、今日の多国籍企業において、国内の本社部門や海外の販売子会社が卸・小売機能を果たしている事実にまで踏み込んだ分析を行っていない。そもそも、Helpman et al. (2004) は、海外市場に財を供給するためには、流通網の整備等に固定費用が必要であることを仮定して、海外直接投資に関する標準的な理論モデルを構築している。国内の本社部門や海外販売子会社は、この固定費用の一部と見なす事ができる。さらに、日本においては総合商社が企業の海外直接投資を支援していることが知られている。こうした現実を理論的に説明する簡単なモデルを構築した。 また、グローバル化と格差の関係について「International Trade and Income Inequality in Japan」 (Japan SPOTLIGHT, 2017)において考察を行った。加えて、貿易利益について「貿易理論の発展と貿易利益」 (『経済セミナー』、2017年6・7月号 通巻696号、pp.28--32) について学界の状況を概説した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
総合商社の意義を明らかにする簡単な理論モデルを構築するとともに、これまでの研究・文献調査の結果を「International Trade and Income Inequality in Japan」 (Japan SPOTLIGHT, 2017)や「貿易理論の発展と貿易利益」 (『経済セミナー』、2017年6・7月号 通巻696号、pp.28--32) において公刊できたため。
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今後の研究の推進方策 |
総合商社が企業の海外直接投資を支援することを説明する簡単な理論モデルに基づき、今後、日本企業のデータを用いた実証研究を行い、卸・小売の役割を深く解明する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)校務多忙のため、参加予定であった学会に参加できなかったため次年度使用額が生じた。 (使用計画)2018年度には、英文校正費用などにも予算を用いて研究を推進したい。
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