研究課題/領域番号 |
15K17067
|
研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
大塚 章弘 一般財団法人電力中央研究所, その他部局等, その他 (90392745)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | エネルギー効率 / エネルギー経済 / 地域経済 / 確率フロンティア分析 / 都道府県 / 日本 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,地域経済におけるエネルギー効率の改善が,経済成長とエネルギー・環境政策の両立のために果たす役割について,定量的な分析に基づき明らかにすることである。そのためには,地域エネルギー効率の改善要因を探るとともに,それが生産性の向上に及ぼす影響について定量的に分析する必要がある。平成27年度は,本研究の目的に照らし,実証分析の第一段階として,以下のとおり,1.分析のためのデータベースの構築と,2.データを用いた現状分析を行った。 (1)データベースの構築:日本の47都道府県を対象としたエネルギー消費データである「都道府県別エネルギー消費統計」のデータを整備し,生産活動のデータとの統合を行った。また都道府県別の産業について,生産活動に要する投入要素やそれによって生み出される生産物のデータをもとに,都道府県別部門別エネルギー消費原単位と,都道府県別全要素生産性についてもデータベースに追加した。 (2)現状分析の実施:整備したデータベースを活用して,日本の地域におけるエネルギー需要の実態把握を行った。日本全体のエネルギー需要は1990年代から2000年代にかけて増加しており,大都市部の地域が日本のエネルギー需要の増加に大きく寄与していることが分かった。エネルギー需要の変動を,一人あたりエネルギー需要の変動と人口変動に分解して考察した結果,一人あたりエネルギー需要がエネルギー需要全体に与える影響が大きく,特に大都市地域以外の地域エネルギー需要の増加は一人あたりエネルギー需要の増加によってもたらされたことが分かった。 これらのデータベース構築と現状分析は,本研究遂行のための第一段階として不可欠のものであり,次年度以降はこれらを活用することで実証分析を深め,政策へのインプリケーションを検討していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベースの構築と一次的な統計分析の実施はおおむね順調に推移している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度に構築したデータベースを使い,地域エネルギー効率を表す指標を開発・検討する。また,開発した分析モデルとエネルギー効率指標を用いて,エネルギー効率の改善要因を探るとともに,エネルギー効率の改善が生産性に及ぼす影響について定量的に分析する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計算機能拡張のため購入を予定していた計算用ソフトウェアの機能が古いバージョンでも分析目的を達成できることを確認したため購入を延期したことや,予定していた英語論文の校閲の利用が少なかったことなどにより,次年度使用額が生じた。ただし,このことによって研究の進捗に問題が生じることはない。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に構築した基本データベースのアップデートと拡張のため,データの追加購入を行うとともに,研究の遂行に必要となる計算ソフトの購入のため,物品費を使用する。さらに,分析から得られた中間的な研究成果を国内外の学会や研究会・セミナー等で発表するため旅費・その他を使用する。
|