研究課題/領域番号 |
15K17072
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 絢子 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (20551055)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 高齢者雇用 / 介護 / 労働供給 |
研究実績の概要 |
(1)東日本大震災によるショックが引き起こした労働移動の分析 データ分析を一通り終え、震災によって被災地以外の労働移動は若干増え、都道府県間の移動も増えたが、失業等への影響は限定的という暫定結果を得た。また、災害の影響について分析する際に自己申告のデータを用いると、影響を過大評価する可能性があることもわかってきた。これらの結果を踏まえて草稿をまとめた。平成29年度以降、学会報告をし、フィードバックを得て改訂を行い、査読誌での出版を目指す予定である。 (2)高齢者雇用促進政策の分析 高年齢者雇用安定法の改正が高齢者の雇用に与えた影響を分析した論文が国際査読誌Industrian and Labor Relations Reviewに採択された。法律の改正により60歳代の雇用が増えたこと、その影響は主に大企業に集中していることを示した。我が国の高齢化問題は先進事例として諸外国からも注目されており、国際査読誌に成果を報告することには大きな意義があると考えている。 (3)介護や育児に対する支援が非労働力からの労働移動に与える影響の分析 介護施設の供給が中高年の労働供給に与える影響を検証し、統計的に有意な影響がないという結果を得て、国際査読誌Asian Economic Policy Reviewにて結果を公表した。ここから派生して、介護労働市場の分析に現在はとりかかっている。高齢化にともない介護労働力不足が懸念されるなか、介護報酬の変更が介護職員の雇用や賃金にどのように影響するのかを検証するため、データ申請を行い分析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つのサブプロジェクトのいずれも最初の論文が仕上がり、次の論文につながる作業に取り掛かっている。おおむね順調といえる。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、データ分析、結果のとりまとめ、学会報告、査読誌への投稿を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度末に発注した英文校正が予定より安くすんだため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度予算と合算して旅費、英文校正、物品費等に使用する予定。
|