研究課題/領域番号 |
15K17075
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
角谷 快彦 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (20619176)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 医療費 / 家族介護 / 金融リテラシー / 家計 / 高齢社会 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、当初の計画通り、分析に用いるモデルの構築に従事した。供給者誘発需要を検証するための変数の選択と構築するモデルについては、以前に発表した申請者の論文「市場競争と供給者誘発需要―医療費支出のマイクロデータ分析」が既にあるが、今回の研究はパネルデータを用いた、より規模の大きい分析であるので、基礎を上積みし、適切な操作変数を選定する等モデルの改良を重ねる必要があった。 一方で、本年度は、当初の計画から副次的なテーマが生まれ、その中から想定を上回る研究成果を出すことができた。本研究は、人口高齢化に伴う医療介護費の増加につながる個人の行動を、年齢、性別、収入、資産等の属性を用いて分析することを目的としていたが、研究をすすめるうちに、そうした個人の行動には、上記属性の他に、被験者の家族の介護行動や家計行動、老後の不安および金融リテラシーといった、これまで想定していなかった要素が影響を与えていることが新たにわかった。これらの発見はもともとのテーマの研究を精緻化するのみならず、新規の研究課題の開拓にもつながり、研究の幅を良い意味で広げた。その中から本年度は、分野の中で比較的インパクトファクターの高い国際学術誌に4本の論文が採択された。 さらに、上記の視座の妥当性を確認すべく、学会等での研究発表も積極的に行った。本年度は、日本経済学会での発表に加え、Household Financeコンファレンス(一橋大学)、経済産業研究所、金融リテラシー研究会、チュラロンコン大学との合同ワークショップでの研究報告等を通じ、情報収集及びフィードバックを得る機会を生かしながらこの作業に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究の進捗上、当初予定になかった副次的なテーマが生まれ、それらにおいても論文発表等の研究成果を残すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究は極めて順調に推移しているので、今後はさらに研究を進めてる一方で、副次的に発見した周辺のテーマについても時間の許す限り掘り下げていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定より物品費が少額であったため残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の残額は平成29年度に消耗品購入に充てる予定である。
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