本研究は全体を通じて極めて順調に推移し、結果として当初の計画以上の成果を残すことができた。平成27年度は、当該テーマに関する論文を書き上げることができた。 平成28年度は、計画通り、分析に用いるモデルに従事。日本経済学会での発表に加え、一橋大学、経済産業研究所、生命保険文化センター金融リテラシー研究会、チュラロンコン大学合同ワークショップでの研究報告を通じ、情報収集およびフィードバックを得る機会を活かしながら、この作業に取り組んだ。 平成29年度は、研究成果として以下の成果を残した。すなわち、単著書籍1冊の刊行、査読付き国際学術誌に2本の論文採択、ディスカッションペパー2本の発行、国際ワークショップの招待講演1件、そして国外大学の記念式典における基調講演1件、シンポジウムでの発表(パネリスト)1件である。なかでも単著書籍は、当該分野を包括的に網羅した上で問題提起をする内容で、出版元Routledge社も世界的な学術出版社であった。また、本年度は、研究成果のプレスリリースを積極的に行った結果、世界中のメディアに記事が掲載され、研究成果の一般への周知にも結果を残すことができた。具体的には本年度の研究成果を記事にしたメディアの数は世界12カ国43件にも上る。さらに、国内でも本研究で得られた知見をハンドブックとして地方銀行グループに提供した他、「介護経営白書」の座談会でも発信する等した。 平成30年度は、査読付き国際学術誌に2本の論文が採択された。発表論文の2本はJournal of Pension Economics & FinanceとPsychogeriatricsへの掲載決定で、それぞれ「老後の資産蓄積を促進する金融リテラシーの決定要因」と「認知症罹患による経済活動縮小のインパクト」に対して科学的なエビデンスを提示したという点で分野の発展に重要な貢献を残すものであった。
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