本研究の目的は、コンジョイント分析を用いて、後発医薬品の多様な特徴・条件と先発医薬品に対する医師の選好の強さを定量的に把握することにより、後発医薬品の有効な使用促進策等を明らかにすることである。 内科系の診療所医師を対象に、異なる特徴・条件を持つ仮想の後発医薬品(後発薬)と先発医薬品(先発薬)から処方薬を選択する質問や、現職での医薬品の処方状況などについてアンケートを行った。内科系の診療所で一般的な外来患者に処方薬を選択する状況を想定し、仮想後発薬の特徴・条件には、(1)先発薬との患者自己負担額の違い、(2)品質・副作用の情報入手方法、(3)先発薬との副作用症例の内容の違い、(4)販売メーカーの国籍、(5)販売メーカーの規模・分類、(6)販売メーカーの売上の使途、(7)患者のかかりつけ薬剤師による調剤の有無を採用した。仮想先発薬の特徴・条件には、このうち(4)、(5)、(6)、(7)を用いた。 診療所医師にアンケートを行った結果、414名から回答を得た。仮想医薬品の選択結果を統計モデルにより解析した結果、回答者は平均的に先発薬よりも後発薬を選択する傾向があることがわかった。また、後発薬の特徴・条件の中でも、先発薬と異なる副作用症例がないことや患者自己負担額が下がることを特に重視し、先発薬の特徴・条件では、売上を新薬の研究開発に使う割合が高いメーカーであることやかかりつけ薬剤師が調剤担当であることを特に重視していた。 本研究の意義・重要性は、後発薬と先発薬の特徴・条件に対する医師の選好と後発薬の具体的な使用促進策が明らかとなることである。薬剤師に対するアンケートが実施できなかったため、医薬品選択における薬剤師の重要性は医師のかかりつけ薬剤師に対する選好から把握した。本研究により、診療所医師に選択されるために実施すべき後発薬の特徴・条件の改善策を明らかにすることができた。
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