IPO後の長期株価パフォーマンスの低迷を説明する1つの仮説として、異質的期待と空売り制約を前提とする理論がある。この理論は、空売りに制約がある場合、楽観的な投資家の意見のみが株価に反映されるため、また、楽観的な投資家に転売するオプションの価値があるため、株価が過大評価されると主張する。しかし、投資家の意見分布が観察不可能なため、この理論を直接的に検証する研究は存在しない。これに対して、本研究では日本の入札方式のIPOに着目することで、その入札結果から投資家の意見分布を推定した。そして、理論の予測通り、楽観的な投資家の割合が大きい銘柄ほどIPO 後の長期株価パフォーマンスが低くなることを示した。
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