研究実績の概要 |
本研究課題は信用秩序を維持しながら「地方創生」の担い手たる地域・中小企業に安定的な成長資金の供給を図るという今日的かつ先進的な政策課題の実現のための政策的含意を得ることを目的として, 日本の銀行業における市場競争やリスク・テイクのあり方と地域の経済発展の間の相互関係を主にミクロ計量分析の手法を用いて実証的に明らかにすることを試みるものである。 平成27年度は研究期間の初年度にあたるため, 研究課題に関連する先行研究のサーベイを行うなど最新の研究動向の把握に努めるとともに, 平成28年度以降に本格的に取り組む予定である金融機関レベルのミクロ計量分析に用いるデータベースの構築に従事した。具体的には, これまでの研究で整備してきた金融機関データベースを拡充するかたちで, 『日本金融名鑑(各年版)』(日本金融通信社), 『全国信用金庫財務諸表(各年度版)』(金融図書コンサルタント社), 『全国信用組合財務諸表(各年度版)』(金融図書コンサルタント社)など紙媒体で発行されている各種統計資料から役員構成や財務情報など理論仮説の検証に必要な地域金融機関(地域銀行・信用金庫・信用組合)のデータを収集・整理した。また, 『ニッキン資料年報(各年版)』(日本金融通信社)等をもとに合併・破綻など金融機関の再編についても先行研究で採用されている一般的な方法でデータベースへの反映を行った。平成28年度は引き続きデータベースの拡充に従事するとともに, できるだけ早い段階で理論仮説の検証のための計量分析に取り組む予定である。
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