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2015 年度 実施状況報告書

戦前日本の繊維産業にみられた繊維資源の有効利用

研究課題

研究課題/領域番号 15K17100
研究機関神戸大学

研究代表者

平野 恭平  神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10509847)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード経済史 / 産業史 / 化学繊維 / 再生絹糸 / 養蚕業 / 製糸業 / 絹糸紡績業
研究実績の概要

戦前の繊維産業にみられた繊維資源の有効利用の取り組みについて,副蚕糸や絹糸紡績屑を利用した再生絹糸の開発を事例として明らかにするため,平成27年度は,資料収集を行うことから始めた。具体的には,再生絹糸の開発を積極的に進めていた星野絹糸化学研究所,鐘淵紡績,大阪工業試験所を中心とする資料収集を行った。しかし,再生絹糸は大規模な工業生産に至らず,その開発から撤退することも多かったため,その資料はあまり残されていない。そこで,新聞・経済雑誌・学術誌・特許などの再生絹糸の記事や研究報告も合わせて収集することによって補足することにした。これらの調査によって,再生絹糸は,1930年代前半の蚕糸業の停滞と化学繊維工業の発展という時代の中で,付加価値の低い繊維資源(副蚕糸や絹糸紡績屑など)の有効利用と人絹糸を超える糸の生産を両立させるという技術的・経済的な意義をもって誕生したこと,1930年代中頃になると,生糸や絹糸紡績糸の価格低下や人絹糸の品質向上のため,その意義が失われ撤退に至ったことが明らかになった。
この成果を踏まえて,第69回紡績企業史研究会(平成27年7月27日,於:日本綿業倶楽部)にて「戦間期の再生絹糸の開発と繊維資源の有効利用」の研究報告を行った。同報告では,再生絹糸の概説,工業化の意義,国外・国内の開発史などの簡単な整理を行った。その後も,学術論文の作成に向けて,各開発主体の再生絹糸の開発に関連する資料収集・調査を続けたが,まだ不十分であるため,平成28年度も継続して行うことにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

資料収集・調査については,当初の計画通りに実施し,論文作成に必要な資料は集まりつつあり,研究報告を行うこともできた。しかし,再生絹糸の開発の実態をより明らかにするためには,追加の資料収集・調査が必要であると考える。このような状況から,平成28年度にも資料収集・調査を継続する必要があるが,概ね順調に進展していると評価することができる。

今後の研究の推進方策

研究実績の概要で触れたように,再生絹糸の実態をより明らかにするために追加の資料収集・調査を行う必要があるため,平成28年度も継続して行うことにする。具体的には,各開発主体での再生絹糸の開発記録,再生絹糸の開発と撤退をめぐる経営者の意思決定の資料,新聞・雑誌・学術誌の記事や研究報告などの収集・調査である。これらの資料を利用し,学術論文としての完成を目指す。

次年度使用額が生じた理由

帳尻合わせのためだけに文具などの小額品を無駄に購入する必要はないと判断した。

次年度使用額の使用計画

平成28年度も継続して資料収集を行う予定であるため,文献の取り寄せや複写に利用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 戦間期の再生絹糸の開発と繊維資源の有効利用2015

    • 著者名/発表者名
      平野恭平
    • 学会等名
      紡績企業史研究会
    • 発表場所
      日本綿業倶楽部(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2015-07-27

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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