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2018 年度 実施状況報告書

満鉄社線の対外経済関係に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K17101
研究機関首都大学東京

研究代表者

竹内 祐介  首都大学東京, 経営学研究科, 准教授 (30711238)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2020-03-31
キーワード満洲 / 満鉄 / アジア経済史
研究実績の概要

研究計画の4年目にあたる平成30年度は、国内外での基礎的な統計収集とその入力作業の残りを実施するとともに、これまでの本課題を総括する内容を、これまでの論文(未公刊のものを含む)をベースにして学会発表をおこなった。また、研究課題に関する既存研究を改めて整理しなおし、本課題の研究史上の位置づけを明確にすることとし、それをサーヴェイ論文の一部として公表した。内容は次のとおりである。
近年さかんになってきているアジア経済史研究と、これまでの日本植民地経済史研究が、必ずしもうまく接合していない研究状況を鑑み、両者を媒介して論じるための「地域」として「満洲」が重要である点を指摘した。両研究がうまく接合しない理由は、「満洲」という地域が、アジア経済史では「中国」の一部として扱われるのに対し、植民地経済史では「日本帝国」の一部として扱われるため、両者の認識の違いが異なる「東アジア」観をもたらすためである。そこで、例えば満洲地域の日本帝国への編入が中国経済にどのような影響を与えたのかを問う視点が今後はますます重要になり、中国経済史・アジア経済史の観点から検討した「植民地」満洲経済研究の登場が期待される。他方で、これまで日本帝国(主義)との関連のなかで論じられてきた満洲経済史研究からも、中国経済史・アジア経済史へ応答する論点を提示することが必要であり、例えば、中国土着の流通圏と、日本が満洲への影響を強めていく過程の関係を問いながら、満洲経済を捉えようとする研究などが、アジア経済史の重視する商人ネットワーク論に接近する可能性をもつ。さらに満洲経済は、その他の植民地経済との関係も強いことから、満洲を媒介にして朝鮮・台湾などの植民地経済史研究の側からも、中国経済史やアジア経済史に接合するような試みが可能である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成30年度は本務校における学内再編等の影響により、研究時間の確保が難しく、入力すべき統計データも予定通りに進まなかった。そのため研究期間を一年延長した。

今後の研究の推進方策

前年度積み残した課題、特に満洲国内各地域との連絡輸送をより詳細に分析する課題に取り組むとともに、鉄道と港湾(大連港)のデータを接続した対外関係の分析にも着手する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は本務校の学部再編初年度であったことや同一分野の教員の研究休暇等にともない、授業負担や代行業務が増加し、十分な研究時間を確保できなかったため。また、同様の理由から本来アルバイトを雇用して進める予定だったデータ入力についても、アルバイトの労務管理のための時間の確保が難しく、予定していたデータベースの構築が思うように進まなかったため。
必要に応じてアルバイトを雇用するか、新しい資料を発見できた場合は、その収集のために使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 満鉄社線の対外経済関係2019

    • 著者名/発表者名
      竹内祐介
    • 学会等名
      鉄道史学会
  • [図書] 日本植民地研究の論点2018

    • 著者名/発表者名
      日本植民地研究会
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      9784000612791

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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