研究課題/領域番号 |
15K17102
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
日野 真紀子 近畿大学, 経営学部, 講師 (60735314)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | イタリア経済 / 輸出 / 絹織物 / ファッション / 人絹 / 1930年代 |
研究実績の概要 |
大恐慌後に起こったイタリアの人絹・絹織物の輸出拡大の要因を検討することにより,イタリアン・ファッション興隆における戦間期と戦後の連続性の説明を試みた。 1930年代の同国の主な輸出製品は繊維と農産物であったが,なかでも人絹・絹製品は一定の重要性があり,人絹製品がその大半を占めた。 輸出の統計から、どのような種類の製品が輸出され、また1930年代の輸出額から製品単価を明らかにすることができた。二つの重要な点があり、一つ目は人絹糸に代わって染色・プリント製品,靴下が増加したことであり、二つ目に、絹製品はその割合を縮小させたが,重量当たり輸出単価をみると,より付加価値の高い製品を輸出していた点である。 このような拡大と輸出製品の質的変化の契機として,経済制裁による輸入代替,為替切下げによる輸出への追い風,フランス絹織物業の不振が挙げられる。また,イタリア政府は繊維業界に対して,ファッションの流行発信や販売の面と,自給自足政策における染料工業の発達の面で影響を与えた。財政的な困難と保護主義による貿易の停滞局面で,人絹・絹の生産国に対して輸出するために付加価値の高い製品を作り出すことは,競争を生き残るための条件であったと考えられる。 その他、モードを形成する分析手段として、今年度イタリアでの資料収集の成果として、モード公社が関係する専門雑誌を収集することができた。また、モード公社に関連する団体で、新たな資料が存在することがわかり、これらについても新たな成果に繋がる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
資料を収集するうちに、新たな資料がイタリアに点在することがわかった。モード公社については、いまだ全容を明らかにする研究がないことから、これらの資料にもアクセスし、経済とモード公社に関する全体的な像を把握するための更なる裏づけ資料が必要と考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、モード公社に関する新たな資料の収集に努める。絹織物業だけではなく、繊維工業、戦後のファッションシステム全体の話に関わることから、より多面的に分析を進めることが必要である。 昨年度に協力が得られた文書館との関係を継続しつつ、モード公社に関して可能な限りの資料を得る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2-3月にわたってイタリアに調査へ行った際、諸費用を当年度処理と次年度繰越へ分けて処理したため。
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次年度使用額の使用計画 |
既に使用している。
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