研究課題/領域番号 |
15K17103
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
橋口 勝利 関西大学, 政策創造学部, 准教授 (00454596)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 企業合併 / ガバナンス / 工業化 |
研究実績の概要 |
本年の研究活動は、主として2点ある。 第一に、近代日本の紡績業の合併事業について、主として中京圏の企業家に着目し、その財界形成および企業家活動を分析した。具体的には、中京財界のリーダーシップを担った奥田正香の企業設立および企業合併を具体的にした。3大紡績のひとつ、東洋紡績の前身である三重紡績は、奥田正香の尽力で中京圏の合併・買収を推し進めた。なお、この内容は、第85回社会経済史学会全国大会(北海道大学:2016年6月12日)において報告する。 次に、三重紡績と大阪紡績の合併プロセスについて、主としてその合併条件をめぐる交渉に着目して、分析した。研究史では、三重紡績優位の合併と評されてきたが、大阪紡績の利害が優先された合併となっていた。これは、大阪紡績の株主の利害が大きく反映されていたことから、企業経営における株主のガバナンスが極めて有効に作用していたことを示すものであった。なお、この研究内容は、『経済論集』第66巻第1号(関西大学,2016年6月)に掲載される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に関わる資料収集は、ほぼ予定通り完了した。中小紡績資本の分析については、主として中京圏を中心にマクロ的な分析を実施するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
まず、第85回社会経済史学会全国大会(北海道大学:2016年6月12日)での学会報告、および『経済論集』第66巻第1号(関西大学,2016年6月)への執筆を完了させる。 次に、収集した紡績資本の資料分析を行い、中京圏の企業合併に実態を解明する。具体的には、①企業合併を巡る大紡績間の競合関係がどのように展開したのか、及び②ステークホルダーのガバナンスが企業経営にどのような影響を与えたのかを解明していく。
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