研究課題/領域番号 |
15K17104
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
瀬戸林 政孝 福岡大学, 経済学部, 准教授 (10383952)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 近代中国 / 品質 / 市場 / 制度設計 / インフォーマルな制度 / フォーマルな制度 |
研究実績の概要 |
本研究のテーマは近代中国の品質マネジメントシステムと制度設計に関する実証研究である。本研究では、近代中国の主要輸出品の品質を担保する制度の変容過程及び形成過程の分析を通じて、国民国家の形成したフォーマルな制度の効果及びその制度と市場参加者によるインフォーマルな制度の関係を検討し、インフォーマルな制度の設計に注目しながら近代中国における制度設計を実証的に明らかにすることを目的としている。本研究で示した品質に関する制度の分析を通じて近代中国の経済成長の制度的要因の一端を明らかにする。 本研究では、フォーマルな制度とともにインフォーマルな制度を研究対象としている。この両者の関係を検討することは非常に重要であると考える。例えば、現代社会は必ずしもフォーマルな制度だけで成り立っているわけではなく、インフォーマルな制度の持つ役割もまた重要である。しかし、後者の役割は社会や市場の中では非常にみえにくい。本研究の研究対象地域である中国は明清期以降、インフォーマルな制度によって支えられながら経済発展を続けてきた。そして、フォーマルな制度が導入され始めた20世紀初頭においてもインフォーマルな制度が社会の多くの部分、例えば、市場における取引等を支えてきたと思われる。そのため、近代中国経済史研究は、こうした制度の存在を明らかにするとともに、二つの制度の関係を考察するのに最も適している。本研究の成果は、市場で発生している現代的な問題を検討する際に重要な知見を提供し、市場における不正問題等の今日的解決に寄与することにあるであろう。ここに本研究の意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通りには研究が進んでいない。その理由は、今年度もまた資料収集に費やせる時間が不足していたこと、そして、それに伴い、当初予定していた資料の収集を終えることができていないことがあげられる。また、当初想定していなかった資料を収集しなければならないことが発覚したため、この点もまた進捗状況が遅れている要因となっている。具体的には1900年代及び1910年代におけるフォーマルな制度に関する資料である。
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今後の研究の推進方策 |
論文の骨組みは一応完成しているので、十分な議論ができていない部分に関する資料の収集を積極的に進めることで、遅れを少しでも取り戻したい。また、資料収集をする時間の不足という研究上の抜本的な問題に関しては、補講制度の利用などを通じて克服したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度もまた、十分に資料収集が行われていなかった。そのため、旅費を使用することができてない。
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次年度使用額の使用計画 |
資料収集のための時間を確保し、資料収集の回数を増やすこととする。
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