研究課題/領域番号 |
15K17106
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
渡邉 万里子 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (70736701)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 海外子会社のイニシアティブ / 海外子会社マネジャーの特性 / 海外子会社トップマネジメントチーム / 属性多様性 / タスク多様性 |
研究実績の概要 |
本年度の研究実績としては、海外子会社のイニシアティブを促進する海外子会社マネジャーの特性に関する先行研究のレビューを前年度に引き続き行った他、定量的なアンケート調査のデザイン・準備が挙げられる。まず、国内学会発表で得られたフィードバック、海外フィールド調査の結果を元に、先行研究レビューを再度実施した。その結果、海外子会社のイニシアティブに影響するミクロ要因として、海外子会社のトップマネジャーのキャリア志向やこれまでの業務経験(複数の国での業務経験や、個人的タスク多様性)、文化的な背景が示された。また、海外子会社トップマネジャー単独ではなく、海外子会社のトップマネジメントチームという単位に焦点を当てると、チームの国籍の多様性が海外子会社のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性も先行研究から示された。トップマネジメントチームの多様性と企業のパフォーマンスに着目した研究はこれまでにも蓄積があるが、海外子会社のトップマネジメントチームという単位に着目した研究は依然として稀少であり、イニシアティブとの関連を示唆した研究はほとんどない。したがって、海外子会社のイニシアティブを促進する駆動力として海外子会社マネジャーの個人特性だけでなく、マネジメントチームの特性も包括的に調査できるリサーチデザインを検討した。定量的なアンケート調査のデザインでは、複数の海外子会社マネジャーへのヒアリング、変数の整理と仮説モデルの検討を行った。また、海外進出企業に関するデータを入手・整理し、アンケート調査対象企業のリストを作成するなど、アンケート調査のプレテスト、及び実施に至る前段階の準備を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行研究レビューを再度実施した結果、海外子会社マネジャーという単位だけでなく、海外子会社のトップマネジメントチームという単位に着目する重要性が新たに示唆された。そのため、海外子会社のトップマネジメントチームの影響力に関する先行研究も新たに見直す必要性があり、仮説モデルを含めたリサーチデザイン全体を再検討する結果になった。このことによって、当初本年度に実施を予定していたアンケート調査の実施が遅れている状態である。しかしながら、海外子会社マネジャー、及び海外子会社のトップマネジメントチームの特性をとらえた、より網羅的なアンケート調査の設計に変更することができる可能性があるため、研究上は意義のある変更であったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、アンケート調査のプレテスト・実施・調査結果の分析を行い、研究成果のアウトプットに繋げていく。アンケート調査のプレテスト・実施については、効率的・効果的な方法を優先的に検討し、既存のオンライン調査の活用、専門的な調査会社・翻訳業者などの活用を積極的に検討する。アンケートの対象企業を多く設定し、アンケートの有効回答数をあげる工夫を行う。また、データの入力・整理についても外部の専門業社やオンラインのツールを積極的に活用し、効率的に作業を進めていくことを目指す。分析のアプローチについては、現在分析しているソフトウエアが複数あることから、よりサステナブルに使用できるソフトウエアを選択し、使用方法習得に努めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、本年度に行った学会発表、及びフィールド調査で得られた知見や専門家からのフィードバックを元に先行研究の再検討を行った結果として、リサーチデザインの再検討の必要性が生じたことが大きな要因である。そのため、当該年度に予定していたアンケート調査の実施までに至らず、アンケート調査に係る金額として当初予定していた使用額の実行が未達となったことによる。ただし、リサーチデザインの再検討は研究上のプロセスとして起こりうる問題であり、また意義のある変更が検討されたものと考える。今後は、使用計画を見直し、より効率的・効果的に研究を進めることを目指していく。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の使用計画として、効率的・効果的な研究費の使用を目指す。まず、次年度の前半中に本年度に予定していたアンケート調査の実施を行うことを目指す。このプロセスでは、プレテストや送信・回収などの作業を迅速に進めるために外部の協力企業などを積極的に活用し、本年度の使用額を円滑に使用していく。次に、次年度の前半から中盤に次年度に使用を予定していた研究費を使用しデータの整理・入力・分析作業を行う。ここでも、作業を迅速に進めるための専門企業の活用や分析ツールの購入に研究費を充てていく。さらに、同時期に研究成果の発表を行い、そこから得られるフィードバックを適宜分析の結果や考察の修正作業に活用していく。以上の調査の実施、分析作業、成果の発表報告という3つの活動に研究費を集中して使用していく。
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