本研究は現在進む自動車の電機化・IoT化を背景に、電機企業が果たすべき主体的役割を考察することであるが、研究期間に中心的に考察したのは第二次世界大戦前の日本における自動車国産化期において、これまで着目されてこなかった電装品生産の担い手であった電機企業が果たした役割についてである。自動三輪車から四輪自動車の生産・開発において、前者は発動機製造や東洋工業が、後者はトヨタ自動車や日産自動車が中心的企業であったが、いずれにおいても電装品に関しては電機企業、とりわけ日立製作所が主体的役割を担っていた。つまり、自動車国産化期においては機械部分と電気部分とが明確に区分けされた分業構造が敷かれていたのである。
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