研究課題/領域番号 |
15K17117
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
山藤 竜太郎 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (00432055)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 外国子会社 / 仲介機能 / 企業間ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、外国子会社の仲介機能に関して実証的に研究を行うことである。従来は外国子会社は本社に従属的な存在だと考えられてきたものの、Bartlett and Ghoshal[1989]やBirkinshaw and Hood[1998]らにより、外国子会社の戦略的な役割が注目を集めるようになった。 本研究はこうした流れを反映しつつ、外国子会社が他企業との接点として重要な仲介機能を果たす可能性について研究を行う。そのため定量分析と定性分析を組み合わせることで、外国子会社の仲介機能を明らかにする独創的で意義のある研究となる。 当該年度に実施した成果については、外国子会社の中でも特に日本企業の主な進出先となっているアジア地域を中心に分析を行った。重化学工業通信社(2017)には2013年4月から2017年3月までの日本企業のアジア進出(新規設立以外の増資や解散も含む)4,971件1,700社あまりのデータが収録されており、これらのデータに基づいてセミ・マクロの分析を行った。既存研究は業種の多様性などが捨象されたマクロ・データの分析または数社から数十社のミクロ・データの分析をおこなっていたのに対し、セミ・マクロのデータの分析を行うことにこの研究成果の意義がある。 当該年度の研究成果は「日本企業のアジア進出についての定量分析」として2018(平成30)年9月に開催される第38回中小企業学会全国大会で報告予定であり、同時に2019(平成31)年7月刊行予定の『日本中小企業学会論集』第38巻に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017(平成29)年度に刊行予定であった山藤竜太郎「日本企業と外国子会社の企業間ネットワーク」は、『横浜市立大学論叢 社会科学系列』第70巻1号、2018年7月刊行予定に掲載されることになった。 2017(平成29)年度においては、重化学工業通信社(2017)には2013年4月から2017年3月までの日本企業のアジア進出(新規設立以外の増資や解散も含む)4,971件1,700社あまりのデータが収録されており、これらのデータに基づいてセミ・マクロの分析を行った。 2017(平成29)年度の研究成果は「日本企業のアジア進出についての定量分析」として2018(平成30)年9月に開催される第38回中小企業学会全国大会で報告予定であり、同時に2019(平成31)年7月刊行予定の『日本中小企業学会論集』第38巻に投稿予定である。 2017(平成29)年度に定量調査(質問票調査)を実施予定であったけれども、利用可能な既存データが存在したため、既存データの定量分析を優先して実施した。この研究成果も活用して、独自の定量調査を2018(平成30)年度に実施する予定である。 2015(平成27)年度の研究実施状況報告書で既に報告している通り、平成28年度に特別研究期間(サバティカル)を取得した。現在までの進捗状況はおおむね順調に進展しているものの、特別研究期間中に研究の進捗に制約があったことを考慮し、補助事業期間延長承認申請についても検討している。
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今後の研究の推進方策 |
2018(平成30)年9月に開催される第38回中小企業学会全国大会で「日本企業のアジア進出についての定量分析」報告予定であり、同時に2019(平成31)年7月刊行予定の『日本中小企業学会論集』第38巻に投稿予定である。 2018(平成30)年度は最終年度であるため、定量調査(質問票調査)を2019(平成31)年2月に実施予定である。これまでパイロット調査を行った結果、質問票の精緻化は既に完了しているものの、回収率を考慮すると企業の繁忙期を避けるため2月の実施が最も望ましいと考えられる。 定量調査の分析結果については2019(平成31)年3月までにまとめる予定である。しかし、定量調査の実施から分析までに時間が限られるため、学会発表や論文投稿については2019(平成31)年度以降になってしまう。この点からも特別研究期間中に研究の進捗に制約があったことを考慮し、補助事業期間延長承認申請についても検討している。 補助事業期間延長が承認された場合、定量調査の分析結果を2019(平成31)年度に学会発表や論文投稿を通じて公表する予定である。併せて追加的に定性調査も実施することで、定量調査と定性調査の両面から研究を推進する方策である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017(平成29)年度に大規模な定量調査(質問票調査)を実施する予定であったけれども、利用可能な既存データの定量分析を優先したため、次年度使用額が生じた。予算制約から定量調査は1回しか実施できないため、より精緻な調査を実施するために、予備的に既存データの定量分析を優先させた結果であり、定量調査の実施の延期は調査の精緻化という積極的な理由に基づいている。 使用計画としては、既に作成したデータベースに基づき、外国子会社約30,000社の親会社である日本企業約5,000社に対して質問票調査を実施する予定である。往復の送料が1社あたり300円と計算すると1,500,000円であり、印刷代や封筒代など1社あたり100円とすると2,000,000円の予算が必要であるため、定量調査の実施によって予算は適切に執行可能である。
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