研究実績の概要 |
本研究の研究実績の概要としては、外国子会社の仲介機能に関する実証研究という研究課題に基づき、特にアジア地域の外国子会社の定量的な分析を推進した。その研究成果の発表として、1回の学会報告と1本の研究論文の作成を行った。 山藤竜太郎「日本企業のアジア進出についての定量分析」日本中小企業学会第38回全国大会、武蔵大学、2018年9月8日で学会報告を行った。アジアにおける日本企業の進出状況について、1,700社4,971件のデータを定量的に分析した。分析結果の概要としては、2015年から2016年にかけて日本企業の中国向けの製造業分野での投資が減少しているものの、自動車・自動車部品・輸送機械分野では投資が増加していることなどが明らかになった。つまり、国単位でのマクロ分析だけではわからない、産業単位でのセミマクロ分析や企業単位でのミクロ分析の重要性が改めて示された。 上記の研究発表を基に、自動車・自動車部品・輸送機械分野の中国進出に絞り込んだ分析結果を研究論文にまとめた。具体的には、広東省26件、江蘇省26件、湖北省11件、上海市10件について、『日本企業のアジア進出総覧』を用いて個別企業まで検討した。特に、広東省ではトヨタ、ホンダ、日産の各社との取引関係を中心に比較的閉じたネットワークを形成しているのに対し、江蘇省では特定の完成車に必ずしも依存しない開放的なネットワークを形成していることを明らかにした。しかし、査読の結果として研究論文ではなく報告要旨として掲載されることになった。山藤竜太郎「日本企業の中国進出:地域別の投資動向と企業集積」『日本中小企業学会論集』38、2019年7月刊行予定に掲載される予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、質問票調査の実施が2019年度に延期されたからである。質問票調査は約4,000社を対象としており、1件600円として2,400,000円の予算を2019年度前半に使用する計画である。その他に2019年度前半に海外調査1回200,000万円、2019年度後半に海外調査1回200,000万円、海外学会報告1回200,000円の予算を使用する計画である。
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