研究の最終年度では、被災地企業の経営者の復興への取り組みについて、そのリーダーシップの性質を見ていくだけでなく、地域活性化や地方創生という視点も組み込んで研究活動を進めた。これに関する研究成果を以下で提示しながら、実績の概要を示していく。 まず、「モチベーション理論の展開」(『現代経営組織要論』所収)では、ミクロ組織論的な学説を提示するだけでなく、CSRが組織構成員に及ぼす影響について考察した。その枠組みを考察する際には、組織のリーダーがどのような配慮をすべきかについて言及して、CSRと経営者のリーダーシップに関する研究を進めた。 ついで、「おもてなしと地域興し」(『地方創生のビジョンと戦略』所収)では、企業とは異なるが、震災復興や地域おこしに取り組む住民団体組織に焦点を当てて、その行動原理とそこにおけるリーダーの役割について考察した。CSRというよりも、SR(組織の社会的責任)に関する研究から、組織のリーダーが被災地の復興や発展にいかに取り組んでいるのかを考察した。 最後に、「共生と共有の価値観に基づく地域おこしの研究」(『産業経済研究』第18号所収)では、営利企業、一般社団法人、地域住民団体のそれぞれが、地域全体を巻き込んで、どのように被災地復興や地域活性化に取り組んでいるかを考察した。これもSRからCSRに及ぶ考察であり、当該組織のリーダーが組織内へのリーダーシップ、そして他組織を巻き込むイニシアティブを発揮して地域課題の解決に取り組んでいることが明らかになった。 このように研究最終年度には、多様な組織のリーダーが果たす社会的責任に関して研究を進めることができた。
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