研究課題/領域番号 |
15K17127
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
木村 琢磨 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (30454549)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ネットワーキング / フェイスワーク / 社会的資本 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年、経営学研究において政治的パースペクティブ(社内政治が組織の意思決定に与える影響に着目した研究視点)が重視されているにもかかわらず、日本においてはこのパースペクティブに依拠した理論的・実証的研究が乏しい現状に鑑み、以下の2つを目的として行っている。 第一に,日本の文化的・制度的特性との関係から、日本企業における政治行動の特徴を明らかにすることである。そして第二に,明らかにされた政治行動の特徴に基づいて政治スキルの有用性をモデル化し,実証研究によって政治行動をおこなう際の政治スキルの有用性を解明し,日本企業の人材育成,リーダーシップ開発に関するインプリケーションを示すことである。 2015年度は、主として対面式による30件のインタビュー調査を行うことを計画していたが、最近の先行研究をふまえて調査方式を一部変更し、約50件の匿名での記述式アンケートによる調査と、8件の対面インタビュー調査を実施した。 アンケート調査の結果はすでに論文としてまとめ、査読制学術誌への投稿を済ませており、昨月「改訂要」との判定を受け、現在、改訂稿の査読中である。インタビュー調査は現在も継続中であるが、昨年実施分から得られた発見事実をまとめ、査読制の国際学会にて口頭発表を行った。発表は当該学会の論文集に掲載されている。そのほか、インタビュー調査と並行し、インタビュー調査の分析のフレームワークとするために、政治行動の文化差に関する概念的研究を行っている。この成果は昨年に論文としてまとめ査読制学術誌に投稿したが「却下」の判定を受けたため、現在、改訂中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対面インタビューの実施件数は予定を下回ったが、その代わりに50件の記述式アンケートを実施した。その理由は、最近の研究において社内政治と倫理との関連が重視されるようになったため、本研究のテーマである政治行動の文化的背景として、日本における倫理的行動に関する認識の特色を明らかにする必要があると判断したためである。 アンケート調査の結果、日本と他国との間で、倫理的行動の認識に関しては大きな差が見られないことが明らかになった(この調査結果は既に論文にまとめており、学術誌にて査読中である)。 対面インタビューは現在も継続実施中であるが、2015年度中に実施したインタビューの結果から、今後構築されうる命題は明らかになりつつある。2015年度の対面インタビューの結果は2015年12月に学会報告としてまとめた。 対面インタビューの実施は予定よりも遅れているものの、アンケート調査を実施したことにより、インタビューデータの分析は円滑に進んでいる。これらの結果を受けた概念的研究は現在、投稿論文として執筆中である。 以上より、当初計画からの変更はあったものの、全体として研究成果に向けて順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の前半で対面インタビュー調査を終え、秋または冬には発見事実をまとめて学会にて報告できるよう進めていく。当初30件の実施を予定していたが、同一の分析手法を用いている近年の研究のサンプル数が平均12件であるため、必要性を鑑み、件数は調整していく予定である。 インタビューデータの分析に資するため、現在改訂中の概念的研究は今年度の前半中に再度、学術誌への投稿を済ませる予定である。インタビューの実施・分析と並行し、必要に応じて、インタビューデータを確証するためのアンケート調査を実施することも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の研究に必要な範囲で支出した結果、2,817円が残金となったが、年度内の消化はせず次年度の繰り越しとして次年度に支出することにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度(2016年度)は研究成果の報告会を実施する予定のため、消耗品の購入、特に資料印刷用の用紙購入に充てる予定。
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