当該年度では、まず、市場志向、ならびに、代替的な戦略志向性が、どのような周辺環境モデレーター要因から影響を受けて、成果要因に影響するかという仮説モデル検証のため、大規模な定量調査を実施している。母集団としては、日本の東証一部に属する製造業企業において、製品開発に携わるマネジャーを対象としている。今回、データの信頼性を高めるため、また、海外ジャーナルへの掲載という目標を達成するため、インターネット調査ではなく、あえて郵送調査を用いている。得られたデータをもとに、AmosやSPSSといった統計ソフトを用いて、多変量解析を施し、仮説モデルを検証している。 これまでの研究成果については、当該年度内に3つの成果報告を行なっている。1つ目が、一連の代替的志向性の先行研究における課題と方向性を示した「マーケティングにおける代替的志向性の包括的理解と今後の展望―代替的志向性がもたらすインパクト―」という論文名で示した、日本マーケティング学会の査読付き学会誌への掲載である。2つ目が、国際学会であるAmerican Marketing Association (AMA) のAMA 2019 Summer Conferenceでの査読付き国際学会報告である。3つ目が、当該年度の研究成果のみならず、これまでの市場志向研究で取り組んできた研究の成果も踏まえて、単著の書籍『市場志向のマーケティング―組織の志向性がパフォーマンスに及ぼすメカニズムの解明―』(出版社:千倉書房)の刊行である。本書のなかにおいて、今回の研究課題で取り組んできた一連の研究成果が報告されている。 以上から、査読付き国内学会誌、査読付き国際学会報告、ならびに、単著書籍による研究成果の刊行という3本の研究成果報告によって、本研究を通じて導出された仮説メカニズムの解明、ならびに、リサーチ・クエスチョンの克服がなされていると考えている。
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