本研究では、プライベートブランド商品の調達が流通業の国際化競争力にどの程度影響をあたえることができるのかを明らかにするため、日本と欧州における事例収集を行い、実証研究を行った。 本研究の目的は、第1にプライベートブランド商品(以下PB商品と表記)の調達増加により、小売企業は商品を差別化し、消費者の選考に影響を与え、どれくらいの競争優位を獲得することができているのか。第2に優れたPB商品の調達を行い、国内にて競争優位を獲得したならば、差別化された商品による競争優位獲得の範囲は延長・拡大することはできるのか。第3に競争優位獲得の範囲を延長・拡大することが可能ならば、PB商品の調達力は流通業の国際化競争においてどの程度影響を与えることができるのか。ということであった。 平成27年度は、日本と欧州におけるPB商品比率と国際競争力との関係を調査した。それによって、日本と欧州の商品構成や流通環境の差異および国際化展開の状況が明らかになった。平成28年度は、欧州系企業の欧州域内におけるPB商品の調達と国際出店について調査した。それによって、欧州域内における競争優位の延長・拡大する事例と要因が明らかになった。平成29年度は、日本市場と日系企業の事例を収集し、日欧比較を行った。それによって、日本と欧州においてPB商品調達は流通業の国際化にどのように寄与するのか明らかになった。 プライベートブランド商品は、消費者に対して差別化された商品を提供し、店舗に対する忠誠度を向上させるとともに、企業へより多くの利益をもたらす効果がある。ただし、プライベートブランド商品の調達先企業が本国国内中心である企業と、調達先企業が本国国外に広がっている企業というように調達先は企業によって異なる。その結果、とりわけ国外出店の際に国際的な商品調達をする企業ほど国際競争力に優位があることが本研究から明らかになった。
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