本研究は、配当と報告利益管理(earnings management)の関係を分析するものである。本研究では、減配回避・安定配当といった配当政策の達成が、経営者に利益調整インセンティブを与えているものと予測する。すなわち、前期の配当金を維持するために必要となる配当財源(分配可能額)を確保すべく、利益増加型の報告利益管理を行っているという仮説を設定している。本研究は、利益ベンチマーク研究に関する報告利益管理行動の研究において、報告利益管理の動機として考えられてきた、損失回避、減益回避、利益予想値の未達回避に加え、減配回避という4 つ目の新しい動機の存在について解明するものとなる。
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