研究課題/領域番号 |
15K17157
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
新井 康平 群馬大学, 社会情報学部, 准教授 (30550313)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 会計知識 / 質問紙調査 / 変動費・固定費 |
研究実績の概要 |
2017年度は,プレスタディを実施し,その結果を踏まえた上で質問紙の制作を行い,2018年度の初頭に予定している質問紙調査の準備が整った。また,質問紙調査とは別に,アーカイバルデータに基づいて,企業レベルでの会計知識の利用状況について研究を行い,論文を出版した。 質問紙の作成では,Siegelらが開発した会計知識の測定尺度の利用を予定していた。しかしながら,この尺度は米国で実施された英語の尺度であること,開発されてから20年以上が経過していることを踏まえて,日本における実務家を対象として,あらためてその妥当性を確認する必要があると判断しウェブ調査を実施した。具体的には,実務家10名程度を対象として,グラウンデッド・セオリーに則って会計知識の測定についてオープンコーディング,軸足コーディングの作業を実施した。その結果,Siegelらの測定尺度は依然として有効である点が確認できたため,2018年度初頭に,この尺度を含めた質問票調査を実施することとした。 また,環境の不確実性のようなマクロの環境を踏まえて,設備投資や資本において変動費・固定費の決定を行っているというエビデンスを提示した。これは,会計的な意思決定において,売上高の変動のような会計上の特性を踏まえて企業が合理的な意思決定を行っていることを示しており,企業レベルでの知識の利用の間接的なエビデンスとなるだろう。なお,本論文は,経営分析学会の学会誌『年報経営分析研究』に採択済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りにウェブ調査を実施し,それらを踏まえて2018年度は群馬県内の工場・事業所を対象とした大規模な調査を実施可能となった。今年度は,最終年として最終調査とその取りまとめが可能となったため,2017年度の研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は最終年度であり,夏頃までに事業所・工場レベルでの会計知識の利用についての仮説検証型の調査を実施し,秋以降は結果の取りまとめ及び論文化の作業を進めることになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ウェブ調査について,サーベイ会社への委託を想定していたが,群馬大学の社会人学び直し委員会でのウェブ調査が可能となったため,この分の資金が節約された。ただし,2018年度の事業所・工場の調査を拡充できるため,その調査における名簿の費用などになる。
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