研究課題
若手研究(B)
識別可能資産及び負債の時価評価の問題に着目し、企業結合における取得原価の配分とのれんの関係について検証した。2010年4月以降の上場企業同士の企業結合にかかる注記から取得原価の配分に関する情報を抽出したところ、新たに無形資産を認識する企業は多くなく、その結果として計上されるのれんの金額が、理論上言われるような超過収益力を表すとはいえない可能性が示唆された。
財務会計
国際的にのれんの規則償却再導入をめぐる議論が引き続き行われているため、当初認識におけるのれんの性質を検証する重要性は引き続き高いと考えられる。また、仮に正ののれんの規則償却が国際標準の会計処理となった場合、国際的調和化のために一時利益計上とされた負ののれんの会計処理の取り扱いが問題となる可能性がある。正ののれんと負ののれんそれぞれの会計上の性質や対称性を明らかにすることは、こうした問題を検討するうえで重要であると考えられるため、本研究の内容を早急に研究成果として公表できるよう努めたい。