本研究は,企業会計の概念フレームワークにおいて,ある範囲の資金提供者の持分にもとづいて,資本の概念を負債の概念に優先して独立に定めることの有益性を記述する。第1に,そのような資本にもとづいて行われる利益の計算は,損益計算書において,企業に財務的資源を提供するある特定の資金提供者の利益を示すことができる。第2に,そのような資本の概念は,株主に帰属する利益と資本の表示を強調する会社法のもとでの開示に適している。実際,日本の会計基準における株主資本は,会社法による開示要求を満たす有益な手段である。ある資金提供者の持分を識別することによって決定される資本の概念は,日本の会社法と整合している。
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