アクターネットワーク理論(ANT)の方法を用いたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)居住者へのインタビュー調査より得られた知見に基づき、質問紙調査を行い、サ高住居住者の社会関係資本(社会的なもの)に影響を及ぼす事物の連関を定量的に把握した。 社会関係資本については、JGES(Japan Gerontological Evaluation Study)のソーシャルキャピタル指標を用いた。調査対象者は、(1)新潟市内サービス付き高齢者向け住宅居住者500名、(2)新潟市内に居住するその他の65歳以上高齢者500名であり、新潟市住民基本台帳により選定する。選定方法は、行政区単位による層化ランダムサンプリングであり、郵送法による質問紙調査(アンケート)を実施した。 調査の結果、地域外のサ高住の住み替えであろうと、地域内のサ高住の住み替えであろうと、サ高住という住居の特性とともに、移動や通信に関わるさまざまな事物の存在の有無が、ソーシャルキャピタル指標との有意な連関を示した(ただし、本調査は、単線的な因果関係を裏付けるものではなく、焦点は人間と非人間の流動的な混淆にある)。 地域居住の時代において、どの地域に住み、どのような住居に住み、どのようなサービスを受け、それまでの人間関係を維持・発展させるのかに目が向かいがちだが、社会関係資本は所与のものではなく、さまざまな事物との連関によって、集合性がフレキシブルに変わる実態が明らかとなった。
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