研究課題/領域番号 |
15K17184
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
黒田 暁 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (60570372)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 社会学 / 集団高台移転 / 住まいの再生 / 地域社会の再編 / 回復力(Resilience) / 震災復興 / 暮らしの再生 / 震災避難 |
研究実績の概要 |
当該年度は、最終年度の総まとめに向けた知見と議論の蓄積、ならびに成果の公開(研究例会の主宰)に力を入れた。具体的には、環境社会学会の震災・原発事故問題特別委員会委員長として、2018年12月(「災害に向き合う環境社会学の研究・実践とは:『東日本大震災と環境社会学研究』から考える」)ならびに2019年2月(「原発災害後の地域社会と自治体:8年目からの生活再建に向けて」)の2回にわたって、学会研究例会を主宰した。 この学会研究例会では、研究代表者をはじめとした学会委員会メンバーが研究報告を行うのに対して、討論者やコメンテーターを設定して応答を展開した後、フロアーも交えて総合討論をおこなう手順をとった。一般市民の参加も可能な公開型のミニ・シンポジウムの形式をとることで、2回の研究例会では、申請者が司会やファシリテーターの役割を担い行った質疑応答や議論に研究者だけではなく、一般市民や震災地域復興にかかわる関係者も参加し、有意義な機会の場となった。この研究例会の実施内容とそこでの議論については、学会のニューズレターで研究代表者が報告するとともに、2019年内に刊行予定の学会誌「環境社会学研究」に特集論文ならびに寄稿論文として、計5本が掲載予定である。また、全国の市町村職員ら約50人の研修「市町村アカデミー」において本研究課題テーマの講演・レクチャーを行い、震災復興に向けての当事者性と実践の重要性を強調した。このような個人の研究課題の成果発信にとどまらず、より領域横断的かつ重層的な社会的発信へとつなげていくことが本研究課題の特徴・強みでもあり、波及効果であると認識している。このように、当該年度は、2019年度内に研究成果の総まとめをするための準備・肉付けの位置づけに当たる研究実績の蓄積に専念した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題の進行状況は順調だったが、研究代表者の体調不良により、研究成果の取りまとめを当該年度中に完了することが難しくなった。本研究課題の集大成を図るため、2019年度への期間延長を申請し、受理されたものである。本研究課題は当初、当該年度が最終年度にあたる位置づけだった。具体的には、本研究計画は北上町の二地区の被災経験を基にした復興モデルの構築に向けて、集団高台移転事業と生業復興を軸として、その中核部分を形成するものと位置づけているため、より一層の社会的発信(研究成果の公表)を目指していた。これを変更して、当該年度は、最終年度の総まとめに向けた知見と議論の蓄積、ならびに成果の公開(研究例会の主宰)に力を入れた。変更後の本研究課題のプロセスはおおむね順調である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、研究/実践ともに総まとめの段階にある。震災復興活動自体は、5 年、10 年~、と続いていくことが見込まれるが、本研究はそのプロセス研究をより長期的な視野で行うべく、地元役場(北上総合支所)や復興活動にかかわるボランティアらとの協働で「当事者性と反響しあう復興史」を作成していくことを計画している。また、本研究課題のテーマに基づいて、研究代表者が主宰するかたちで、2019年内に刊行予定の学会誌「環境社会学研究」には特集論文ならびに寄稿論文として、計5本が掲載予定である。現場に向けた発信、さらに学術的発信を総合させた成果の「社会的発信」を目指し、研究/実践の一定の集大成としたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の進行状況はおおむね順調だったが、研究代表者の体調不良により、研究成果の取りまとめを当該年度中に完了することが難しくなった。本研究課題の集大成を図るため、2019年度への期間延長を申請し、受理されたものである。本研究課題は当初、当該年度が最終年度にあたる位置づけだった。具体的には、本研究計画は北上町の二地区の被災経験を基にした復興モデルの構築に向けて、集団高台移転事業と生業復興を軸として、その中核部分を形成するものと位置づけているため、より一層の社会的発信(研究成果の公表)を目指していた。これを変更して、当該年度は、最終年度の総まとめに向けた知見と議論の蓄積、ならびに成果の公開(研究例会の主宰)に力を入れた。次年度は、当初の最終年度の計画通り、本研究課題の総まとめとして、6月に環境社会学会にて、企画セッション「震災をめぐる暮らしの連続性/断絶と環境社会学のまなざし」を主宰するのに加えて、2019年内に発刊予定の「環境社会学研究」25号にて、同名の特集論文を数本寄稿する予定である。次年度使用予定額は、これらのプロセスを遂行するのに必要な調査旅費・研究費に充てている。
|