(1)研究・実践活動の内容(調査研究のまとめ) 本研究は、宮城県石巻市北上町における東日本大震災からの復興活動支援の実践にかかわりながら、おもに集団高台移転事業の展開と、地域の生業復興に関する人々の動向について調査研究をおこない、地域社会の回復力がいかに形成されていくのかについて、総合的な研究を進めてきた。最終年度にあたる2019年度においては、これまでの調査研究から得られた知見や実践活動の経験を取りまとめ、学術雑誌『環境社会学研究』25号(2019年12月刊行)に「小特集」ならびに「レターズ」として計5本の論考を掲載した(うち1本の単著解題論文、1本の共著活動報告を掲載)。こうした学術論文集を「小特集」として広く発信し、問うことによって震災の変動からいったん断絶した、人と地域社会と自然環境とをむすぶ関係性が、どのように連続性を帯びていくかについて、「地域社会の回復力」生成のプロセスを明らかとした。 (2)研究の最終報告 本研究は、これまで行ってきた調査研究の最終報告、ならびに環境社会学会「震災・原発事故問題特別委員会」委員長(2017~2019年度)としての諸活動の取りまとめを兼ねたシンポジウムとして、第59回 環境社会学会大会(2019年6月8、9日 明治学院大学)にて「企画セッション」を開催した。テーマを「震災をめぐる暮らしの連続性/断絶と環境社会学のまなざし」と銘打ち、概説と3本の報告を編成し、フロアと総合的な討論を行った。その成果は(1)の『環境社会学研究』小特集論文にフィードバックした。他に関連3報告を2学会にて行った。なお、調査地において調査研究成果を報告する機会と場をつくることを計画していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で取りやめとなった。
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