ニューヨーク市の芸術業界に関する一次資料を、Archive of American Artを中心に閲覧・分析し、第二次大戦中頃から一貫して進展する変化を記述した。すなわち、ニューヨーク市が世界の作品売買の中心地となることで、画廊・芸術家が増加するなど、量的に拡大する過程である。 こうした量的拡大は、脱工業化や自治体政策といった要因だけではなく、グローバルな芸術市場の構造変動により、ニューヨーク市の芸術業界に内在的な変化が生じたことに起因していたことを明らかにした。また、芸術業界の量的拡大は、結果的に、さまざまな価値観・美的思考を持つ芸術家や画廊経営者の数を増加させ、業界の多様化を進展させた。
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